こんにちは。家庭教師のカカオの高野です。

●最速154キロ中京大中京・高橋がプロ志望届提出へ
https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/202010060000361.html

今回は、野球界でドラフトの目玉として注目させていた、最速154キロを投げる世界屈指の高校生、中京大中京高の高橋投手に注目します。先日、合格発表があった慶應SFCのAO入試にて不合格となり、大学進学から一転、プロ野球の道に進むというニュースが飛び込んできました。この真相に、AO・推薦入試の専門家として迫ってみます。

そもそも「AO入試」とはなにか

AO入試とはアドミッションズ・オフィス入試のことで、AOとは入試事務局(Admissions Office)の意味です。
というのは、大学側が提示している「アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)」に基づいて、 入学者選抜を「点数」ではなく、入試事務局の人が「人物」を見て選抜する選抜方法です。どうしても、一律でペーパーテストの「点数」だけで選抜してしまっては、大学側はどんな「人物」が実際に入学してくるか分かりません。そんな問題点を解消できるのがAO入試というわけです。

この「人物重視」のAO入試ですが、欧米ではメジャーな入試でして、むしろ日本のように、テストの「点数だけ」で選抜する入試は、世界的に見ればかなり特殊な入試と言えます。
世界的に見れば、AIの発達が進む中で、社会で重要視されるのは、前時代的な詰め込み型の教育ではなく、主体性や柔軟性、論理的思考力やコミュニケーション力なのです。

近年では、文部科学省も従来の点数至上主義から脱却し、多面的・総合的評価による人物本位の入試へ大きく舵を切っています。例えば、早稲田大はAO・推薦の割合を現行の4割から6割まで引き上げることを発表していて、国立大学でもAO・推薦の定員を2021年までに3割に拡大する方針を表明しています。大学入試も、社会が求める能力の変化に対応して、新しい入試であるAO・推薦入試に主軸を移していっています。

高橋選手はなぜ不合格になったのか

AO入試の合格の決め手となるポイントに、受験生の考える「未来」があります。簡単に言ってしまえば、受験生の「未来」はどれくらい社会を明るくするか。AO入試にはそんな評価軸があります。今回、高橋投手の「未来」が、不合格の理由でしょう。

さて、高橋投手の未来は不十分だったのか。球界で頭角を現すのに十分過ぎるスキルがあり、輝かしい未来があるじゃないか。そんな考えもありますが、それはあくまで「過去」から導き出される「未来」に過ぎない訳です。高橋投手の投手としての力量は、世界的にも活躍できるでしょうし、地球規模で人々に希望を与えることは容易に想像できます。それを裏付けるのは、高橋投手にしかない、輝かしい立派な経験、AO入試で言う「過去」の部分になります。甲子園で活躍して、プロ野球でも期待されてる「過去」からは、誰もが世界に羽ばたく学生だと「未来」を見据えることができます。
ただ今回、高橋投手が入学を希望した、慶應の入試事務局(Admissions Office)の人々には、見えなかった、高橋投手の「未来」があります。それは高橋投手の「慶應で学ぶ未来」なのです。

というのも、AO入試で主張する必要がある要素の一つに「その大学で学ばなければならない理由」があります。高橋投手がすでに見据えている未来だけでは「慶應で学ばなければならない理由」にならなかったのでしょう。

AO入試が、その受験生の単純に輝かしい「未来」が見据えられるか、だけで評価されるのであれば、高橋投手は学年の中で少なともトップ100人に入る高校生で、高橋投手はAOならどこの大学でも入れるということになります。でもそうではなかった。

慶應で学ばなければならない「理由」が足らなかった

AO入試では、単に「受験生」の“未来が輝かしいか”ではなく、「受験生」×「志望校」のコラボレーションによって、初めて“未来が輝かしくなるか”が評価のポイントとなります。

AO入試は「受験生」と「志望校」のコラボレーションによる「未来」を見極める

志望する大学で学ばなくても、一人でも「未来を切り開ける学生」というのは合格にならないのです。受験生と大学がコラボレーションして初めて、社会がより良くなる「未来が輝かしくなる」かどうかで合格は決まります。

高橋投手には、慶應での学びなんか必要なくて、一人でも未来を切り開けるし、社会に希望を与えることが出来る。大学側も、合格を出せる人数は限られているわけですから、一人では社会にインパクトを与えることが出来ないけど、慶應での学びがあれば、社会に良い影響を与えられる「未来ある受験生」に合格を与えたほうが良い。そういう判断だったのです。

ぜひ高橋投手には、プロ野球の道を突き進んで頂いて、これからも大いにご活躍頂くことで、社会に希望を与え続けていって欲しいですね。

この記事を書いた人

高野 祐大
高野 祐大
家庭教師のカカオ代表。偏差値30、評定平均2.2で慶應義塾大学にAO入試で現役合格。学校の成績は大学進学も危ぶまれる状況だったが、AO入試で慶應義塾大学に現役合格した経験をもつ。大学入学後は、一人でも多くの人にAO・推薦入試にチャレンジしてもらうべく、日本初のAO・推薦入試専門の家庭教師センター「家庭教師のカカオ」を設立した。趣味は温泉。温泉ソムリエ協会認定温泉ソムリエ。